最高裁判所第三小法廷 平成10年(行ツ)25号 判決 1998年5月26日
愛知県安城市安城町宮地一三番地
上告人
杉浦博幸
同安城町広美三五番地
上告人
杉浦健璽
右両名訴訟代理人弁護士
桜川玄陽
愛知県刈谷市神明町三丁目五〇一番地
被上告人
刈谷税務署長 小泉治
右指定代理人
杉山典子
右当事者間の名古屋高等裁判所平成九年(行コ)第三号所得税更正処分等取消請求事件について、同裁判所が平成九年一〇月二三日に言い渡した判決に対し、上告人らから上告があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理由
上告代理人桜川玄陽の上告理由について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 園部逸夫 裁判官 千種秀夫 裁判官 尾崎行信 裁判官 元原利文 裁判官 金谷利廣)
(平成一〇年(行ツ)第二五号 上告人 杉浦博幸 外一名)
上告代理人桜川玄陽の上告理由
第一点 原判決は、本件各係争年中に「下管池の土地」から生じた賃料は、有限会社スギウラ興産設立後も上告人杉浦博幸に帰属するものと認めたが、この点に関して左の通り、所得税法第一二条の解釈適用の誤り、審理不尽ないし理由不備の違法、及び経験則に違反し且つ証拠によらずに主要事実を認定した違法があり、これらの違法は判決の結果に影響すること明らかであるから、原判決を破棄すべきである。
一、原判決は、右の如く、「下管池の土地」から生じた賃料(賃借人中京佐川急便株式会社が支払った賃料)は、スギウラ興産設立後も、同会社に帰属するものではなく、上告人博幸に帰属するものと認め、同賃料を同上告人の不動産収入として計上したが、その理由として、「下管池の土地」に関する賃貸借契約における賃貸人は、スギウラ興産が昭和五八年五月四日に設立された後も上告人博幸であって、同上告人が右土地から生ずる賃料を取得していたのであり、スギウラ興産は、上告人博幸から同賃料の管理運用を委任されていたにすぎないと認めるのが相当であることを上げている(一審判決文の五〇ページ)。
二、然しながら、仮に、原判決認定の如く、スギウラ興産設立後も上告人博幸が「下管池の土地」に関する賃貸借契約における賃貸人であり、而して、同土地の賃料が上告人博幸名義の預金口座に振り込んで支払われたことにより、同上告人が同賃料を取得したと認むべきであるとしても、上告人博幸は、自己名義の預金口座に振り込まれた右賃料を直ちにスギウラ興産の預金口座に振り替えて同会社に引き渡していたのであって、同上告人が同賃料を自己のものとして管理、運用ないし処分し支配していた事実は全くないし、このような事実を認むべき証拠も全くない。
これに対して、スギウラ興産は「下管池の土地」から生じた賃料を受領し、「桜町の土地」から生じた賃料と併せて、これらを自己のものとして現実に管理、運用、処分(上告人博幸、同杉浦健璽及び杉浦昌子らに対する役員報酬その他諸経費として支出費消)し、支配していたのである。
三、ところで、所得税法第一二条及び法人税法第一一条は、資産から生ずる収益は、これを享受している者に帰属するものとして、所得税法又は法人税法を適用すべきことを定めているが、同法条が実質所得者課税の原則を定めたものであることからして、同法条の「収益を享受する者」とは、収益を自己のものとして現実に管理、運用ないし処分し支配している者、言い換えれば、その収益によって所得税又は法人税の納付をなし得る者と解すべきである。
然るところ、前述の通り、スギウラ興産は「下管池の土地」及び「桜町の土地」から生じた賃料を受領し、これらを自己のものとして管理、運用ないし処分し支配していたのであるから、スギウラ興産は同賃料を現実に享受していた者であり、同賃料はスギウラ興産に帰属するものと認むべきである。
これに対して、上告人博幸は、スギウラ興産の設立後は、「下管池の土地」から生じた賃料を取得して、これを自己のものとして現実に管理、運用ないし処分し支配していた事実は全くないし、かかる事実を認むべき証拠も全くないのであるから、所得税法第一二条の規定に照らして、上告人博幸は右賃料を享受していた者と認めることはできないし、従って、右賃料を同上告人に帰属するものと認めることはできない。
四、然るに、原判決は、これとは反対に、「下管池の土地」から生じた賃料は、スギウラ興産が設立された後も同会社に帰属するものではなく、上告人博幸に帰属するものと認めたが、これは所得税法第一二条の解釈適用を誤ったものである。而して、原判決は、上告人博幸が「下管池の土地」から生じた賃料を実際に受領し、これを自己のものとして現実に管理、運用ないし処分し支配していたか否かにつき、何ら審理判断することなく、同賃料を上告人博幸に帰属するものと認めたのは、審理不尽の違法ないし民事訴訟法第三九五条一項六号の理由不備の違法を犯したものである。
五、なお、原判決は、スギウラ興産は上告人博幸から「下管池の土地」から生じた賃料の管理運用を委任されていたにすぎないと認めたが、スギウラ興産は、金銭の預託を受けてこれを管理運用することを目的とする信託会社ではないし、而して、自己が取得した賃料と同額の委任料を支払って、その賃料の管理運用を委任するという如き異常極まることは、経験則上全くあり得ないことであり、また実際にも、上告人博幸が「下管池の土地」から生じた賃料と同額の委任料をスギウラ興産に支払って、同賃料の管理運用を同会社に委任した事実はないし、このようなことが実際に行われたと認むべき証拠もない。
従って、たとえ原判決認定の如き前記委任契約書が作成された事実があっても、原判決がこれを根拠に、「下管池の土地」から生じた賃料はスギウラ興産に帰属するものではなく、スギウラ興産は同賃料の管理運用を上告人博幸から委任されたものにすぎないと認定したのは、経験則に違反し且つ証拠によらず主要事実を認定する違法を犯したものである。
第二点 原判決は、本件各係争年中に「桜町の土地」から生じた賃料の三分の一が上告人博幸に帰属し、昭和六三年及び平成元年中に同土地から生じた賃料の一部が上告人健璽に帰属するものと認めたが、この点につき左の通り、所得税法第一二条の解釈適用の誤り、及び審理不尽ないし理由不備の違法があり、これらの違法は判決の結果に影響すること明らかであるから、原判決を破棄すべきである。
一、原判決は、「桜町の土地」から生じた賃料(杉浦製粉株式会社が支払った賃料)はスギウラ興産に帰属するものではなく、同賃料のうち昭和六三年及び平成元年中に生じた分は上告人博幸、同健璽及び昌子ら三名(以下上告人博幸ら三名という)に帰属し、平成二年中に生じた分は上告人博幸及び昌子の二名に帰属するものと認め、その理由として、スギウラ興産は「桜町の土地」の共有者である上告人博幸ら三名のために、自己の名で同土地につき杉浦製粉株式会社と賃貸借契約を締結したものであり、スギウラ興産は取得した賃料を上告人博幸ら三名の共有者に引き渡す義務を負っていたものであることを上げている(一審判決の五八ページ)。
二、然しながら、原判決認定の如く、「桜町の土地」に関する賃貸借契約における賃貸人はスギウラ興産であるから、同会社が同土地から生ずる賃料の法律上帰属するとみられる者であり、而して、スギウラ興産は同賃料の単なる帰属名義人ではなく、賃借人杉浦製粉から右賃料を振り込みの方法によって支払いを受け、これを「下管池の土地」から生じた賃料と併せて、自己のものとして現実に管理、運用、処分(上告人博幸ら三名に対する役員報酬その他の諸経費として支出費消)し支配していたものである。
これに対して、上告人博幸ら三名は「桜町の土地」から生じた賃料の支払いを受けたこともなく、また、これを自己のものとして管理、運用ないし処分し支配していた事実は全くないし、このような事実を認むべき証拠も全くない。
三、然るところ、所得税法第一二条及び法人税法第一一条の「収益を享受する者」とは、収益を自己のものとして現実に管理、運用ないし処分し支配している者と解すべきことは、前述の通りであるから、「桜町の土地」から生じた賃料を享受していた者はスギウラ興産であって、上告人博幸ら三名は同賃料を享受していなかったと認むべきであり、従って、同賃料は、スギウラ興産に帰属するものと認むべきであって、上告人博幸ら三名に帰属するものと認むべきではない。
四、然るに、原判決は、これとは反対に、「桜町の土地」から生じた賃料は、スギウラ興産に帰属するものではなく、上告人博幸ら三名に帰属するものと認めたが、これは所得税法第一二条の解釈適用を誤ったものである。
而して、原判決は、上告人博幸ら三名が「桜町の土地」から生じた賃料を実際に受領し、これを自己のものとして現実に管理、運用ないし処分し支配していたか否かにつき、何ら審理判断することなく、同賃料を上告人博幸ら三名に帰属するものと認めたのは、審理不尽の違法ないし民事訴訟法第三九五条一項六号の理由不備の違法を犯したものである。
五、なお、原判決は、スギウラ興産が「桜町の土地」の共有者である上告人博幸ら三名のために、同土地につき自己の名で賃貸借契約を締結したものであり、その取得した賃料を同上告人博幸ら三名に引き渡す義務を負っていたものであると述べているが、仮にそうであるとしても、上告人博幸ら三名はいずれも、「桜町の土地」から生じた賃料をスギウラ興産から実際に引き渡しを受けたこともなく、これを自己のものとして現実に管理、運用ないし処分し支配していた事実は全くないし、このような事実を認むべき証拠も全くない。
従って、所得税法第一二条の規定に照らし、上告人博幸ら三名を「桜町の土地」から生じた賃料を享受していた者と認めることはできないし、それ故、同賃料を上告人博幸ら三名に帰属するものと認めることはできないのである。
これに反する原判決の前記判断が、所得税法第一二条の解釈適用を誤ったものであることは明らかである。
第三点 原判決は、本件各係争年中に「貸家等」から生じた賃料のうち、別紙物件目録記載(三)(1)の土地及び同目録記載(三)(2)の建物から生じた賃料の全部と、同目録記載(三)(3)の建物から生じた賃料の三分の一は上告人博幸に帰属し、また、同目録記載(三)(3)の建物から生じた賃料の三分の一は上告人健璽に帰属するものと認め、これを同上告人らの不動産収入としてそれぞれ計上したが、この点につき左の通り、所得税法第一二条の解釈適用の誤り、及び審理不尽ないし理由不備の違法があり、これらの違法は判決の結果に影響すること明らかであるから、原判決を破棄すべきである。
一、原判決は「貸家等」のうち、別紙物件目録記載(三)(1)の土地(所有者は上告人博幸)及び同目録記載(三)(2)の建物(所有者は上告人博幸)から生じた賃料は上告人博幸に帰属し、同目録記載(三)(3)の建物(所有者は上告人博幸、同健璽及び昌子)から生じた賃料の三分の一あてが上告人博幸、同健璽、及び昌子ら三名にそれぞれ帰属するものと認め、その理由として、昌子は自ら賃貸人となって「貸家等」を賃貸する権限を上告人博幸及び同健璽から与えられていたとすべき事情は認められないところ、右の(三)(1)の土地及び(三)(2)の建物の所有者は上告人博幸であるから、上告人博幸が同土地、建物の賃貸人であり、右の(三)(3)の建物の所有者は上告人博幸、同健璽及び昌子ら三名であるから、上告人博幸ら三名が同建物の賃貸人であると認むべきことを上げている(一審判決の六三ページ)。
二、然しながら、仮に原判決説示の如く、「貸家等」のそれぞれの所有者を、各所有物件の賃貸借契約における賃貸人であると認むべきであるとしても、それは、別紙物件目録記載(三)(1)の土地及び同目録記載(三)(2)の建物から生ずる賃料の法律上帰属するとみられる者は上告人博幸であり、同目録記載(三)(3)の建物から生ずる賃料の法律上帰属するとみられる者は上告人博幸ら三名であるというにすぎない。
然るところ、右の如く、右各賃料の法律上帰属するとみられる上告人博幸及び同健璽は、それぞれの所有物件から生じた賃料を実際に受領したこともなく、これをそれぞれ自己のものとして現実に管理、運用ないし処分し支配した事実も全くないし、また、このような事実を認むべき証拠も全くないのであるから、所得税法第一二条の規定に照らして、上告人博幸及び同健璽はいずれも、単なる賃料の帰属名義人であって、それぞれの所有物件から生じた賃料を現実に享受していた者と認めることはできないし、したがって、右各賃料の全部又は一部が上告人博幸、同健璽にそれぞれ帰属するものと認めることはできない。
これに対して、昌子は、昭和五一年六月に杉浦こまから「世帯譲り」を受けて以降、「貸家等」から生じた賃料の全部を実際に受領し、これを自己のものとして現実に管理、運用、処分(一家の生活費、建物の建築費ないし修繕費、その他の費用として支出費消)し支配していたのであるから、所得税法第一二条の規定に照らして、昌子は「貸家等」から生じた賃料の全部を実際に享受していた者と認むべきであり、従って、同賃料はすべて昌子のみに帰属するものと認むべきである。
三、然るに原判決は、これとは反対に「貸家等」のうち、別紙物件目録記載(三)(1)の土地及び同目録記載(三)(2)の建物から生じた賃料は上告人博幸に帰属し、同目録記載(三)(3)から生じた賃料は上告人博幸、同健璽及び昌子ら三名に帰属するものと認めたが、これは所得税法第一二条の解釈適用を誤ったものである。
而して、原判決は、上告人博幸、同健璽及び昌子が、それぞれ所有する前記各物件から生ずる各賃料を、実際に受領し、これをそれぞれ自己のものとして管理、運用ないし処分し支配していたか否かにつき、何ら審理判断することなく、「貸家等」から生じた賃料の帰属につき右の如く判断したのは、審理不尽の違法ないし民事訴訟法第三九五条一項六号の理由不備の違法を犯したものである。
第四点 原判決は、上告人博幸、同健璽が本件各係争年中にスギウラ興産からそれぞれ一定額の役員報酬を受領したことを認定し、これを同上告人らの給与収入としてそれぞれ加算計上しながら、これと同時に、本件各係争年中に「下管池の土地」から生じた賃料の全部と「桜町の土地」から生じた賃料の三分の一を上告人博幸に帰属するものと認め、また、昭和六三年と平成元年中に「桜町の土地」から生じた賃料の一部を上告人健璽に帰属するものと認め、これらをそれぞれ上告人博幸、同健璽の各不動産収入として計上したが、この認定計算は、同上告人らの所得税負担を不当に増加させる結果となるものであり、所得税の課税における応能負担の原則に著しく違反する違法なものであるが、この違法は判決の結果に影響すること明らかであるから、原判決を破棄すべきである。
その理由は次項以下に述べる通りである。
一、本件各係争年中におけるスギウラ興産の収入は、「下管池の土地」から生じた賃料と「桜町の土地」から生じた賃料のみであるから、上告人博幸、同健璽及び昌子が、同人ら申告の如き金額の役員報酬をスギウラ興産からそれぞれ受領した事実を認め、これを同人らの給与収入として計上することは、スギウラ興産が右両土地から生じた賃料を実際に受領し、同会社がこれを自己のものとして現実に管理、運用ないし処分し支配していた事実を認めることを意味するものであり、従って、スギウラ興産は右両土地から生じた賃料を享受している者であり、同賃料はスギウラ興産に帰属するものと認めることにほかならない。
それ故、上告人博幸、同健璽及び昌子が、スギウラ興産から同上告人ら申告の如き金額の役員報酬をそれぞれ受領した事実を認め、これを同上告人らの給与収入として計上しながら、これと同時に、「下管池の土地」及び「桜町の土地」から生じた賃料は、スギウラ興産に帰属せず、すべて上告人博幸、同健璽及び昌子にそれぞれ帰属するものと認め、これを同上告人らの不動産収入として計上する認定計算は、スギウラ興産が同上告人らに支払った役員報酬を同上告人らの給与収入として計上することと矛盾するものであるから、右認定計算は不合理であり許されない。
二、また、右の如き認定計算は、「下管池の土地」及び「桜町の土地」の各賃借人らが、上告人博幸、同健璽及び昌子にそれぞれ支払った約定賃料額のほかに、少なくともスギウラ興産が支出費消した金額(上告人博幸ら三名に対する役員報酬及びその他の諸経費を合計した金額)に相当する賃料をスギウラ興産に支払ったことを仮想し、これを前提とするものであるが、この前提は、右両土地の各賃借人らが支払った賃料は約定賃料のみであるという事実と矛盾するものであるから、右認定計算は同じく不合理であり許されない。
三、然るところ、本件各係争年中に、上告人博幸、同健璽及び昌子が、スギウラ興産から同上告人ら申告の如き金額の役員報酬をそれぞれ受領したことは、仮想された事実ではなく、客観的な事実であって、同上告人らはそれぞれ受領した役員報酬額相当の経済的利益を現実に享受していた者であるが、原判決が述べる如き理由に基づいて、「下管池の土地」及び「桜町の土地」から生じた賃料の全部を、上告人博幸、同健璽及び昌子らにそれぞれ帰属するものと認め、これを同上告人らの不動産収入として計上しても、これにより同上告人らが、不動産収入として計上された金額相当の経済的利益を現実に享受するに至るわけではないし、また、同族会社であるスギウラ興産が何程かの税負担上の利益を享受する結果となるわけでもない。
従って、上告人博幸、同健璽及び昌子が、スギウラ興産から一定額の役員報酬を受領した事実を認め、これを同上告人らの給与収入として計上しながら、これと同時に、右両土地から生じた賃料が、すべて上告人博幸、同健璽及び昌子らにそれぞれ帰属するものと認め、これを同上告人らの不動産収入として計上する認定計算は、同上告人らが、それぞれ現実に享受した経済的利益のほかに、不動産収入として計上された金額相当の経済的利益を享受したことを仮想し、これを課税対象に加算するものであることは明らかである。
また、「下管池の土地」及び「桜町の土地」から生ずる賃料により、上告人博幸、同健璽及び昌子の三名が享受し得る経済的利益の合計額は、右両土地の各賃借人が支払う約定賃料額の合計額を限度とするものであり、同上告人ら三名はこの限度額を超える経済的利益を享受することは不可能であるが、右認定計算は、同上告人ら三名が合計してこの限度額を超える経済的利益を享受することが可能であると仮定し、これを前提とするものであることも明らかである。
それ故、右認定計算は、上告人博幸、同健璽及び昌子らの所得税の負担を不当に増加させる結果となるものであり、所得税の課税における応能負担の原則に著しく違反する違法なものであることは明白である。
そして、この違法は判決の結果に影響すること明らかであるから、原判決を破棄すべきである。
以上